藝大取手コレクション展 2025___Geidai TORIDE Collection 2025: Welcome!

    東京藝術大学大学美術館取手館(茨城県取手市)では、2025年11月13日(木)から11月30日(日)まで、「取手収蔵棟竣工記念・取手館開館30周年記念 藝大取手コレクション展 2025」を開催いたします。

    東京藝術大学大学美術館取手館は、昨年で開館30周年を迎えました。さらに、未来の学生たちの作品を十分に保管できるスペースを持った取手収蔵棟が、令和6年(2024)に竣工いたしました。

    これを記念し、取手市と共催で開催するものです。

    取手館ならびに取手収蔵棟には、約13,000件の作品が収蔵されています。その多くは明治から現代に至るまでの、本学で研鑽を積み卒業していった学生たちの作品です。一方で、明治時代に納入されたデッサン用の石膏像や古墳時代の埴輪といった、後進育成のために収集された教育資料もまた、取手における藝大コレクションの特色の一つです。

    そこで、本展では「自画像:1925→2025」、「卒業・修了制作:学びの集大成」、「過去に学ぶ:未来へ繋ぐ教育資料」の3つのセクションから、当館収蔵品の粋と魅力をご紹介いたします。まもなく創立140周年を迎える本学の、長きにわたる学びと教育の結晶をご堪能ください。

    高村光太郎《獅子吼》明治35年(1902) 彫刻科卒業
詩人としても活躍した彫刻家、高村光太郎の卒業制作。肩をいからせながら口を真横に結び、強い意思を湛えた瞳で屹然と遠くを見つめる僧侶。台座部には「獅子吼」と刻まれ、卒業制作をまとめた東京美術学校校友会編『作品集』第1巻(明治35年刊)ではその英題を「Nichiren.」としていることから、若き日の日蓮が今まさに説法をせんとする姿を象ったものと考えられます。

    高村光太郎《獅子吼》明治35年(1902) 彫刻科卒業


    詩人としても活躍した彫刻家、高村光太郎の卒業制作。肩をいからせながら口を真横に結び、強い意思を湛えた瞳で屹然と遠くを見つめる僧侶。台座部には「獅子吼」と刻まれ、卒業制作をまとめた東京美術学校校友会編『作品集』第1巻(明治35年刊)ではその英題を「Nichiren.」としていることから、若き日の日蓮が今まさに説法をせんとする姿を象ったものと考えられます。


    展覧会構成とみどころ

    1. 自画像:1925→2025


    本学では、卒業制作として描かれた自画像の収蔵を、明治31年(1898)頃から現在に至るまで続けており、その数は約7,000件に上ります。己を写し、時代をも映したこの世界で類をみない自画像アーカイブに、大正14年(1925)、昭和50年(1975)、平成5年(1993)、そして令和7年(2025)という4つの卒業年から迫ります。

    (左)伊藤廉《自画像》大正14年(1925) 西洋画科卒業


    東京美術学校卒業後、滞欧先のパリでジョルジュ・ルオーに師事。帰国後は、濃密なマチエールと詩情に富む独自の静物画を確立するとともに、東京藝術大学ならびに愛知県立芸術大学で教鞭を執り、日本の美術教育に尽力しました。

    (右)會見明也《自画像》令和7年(2025) 絵画科油画専攻卒業


    情報化社会における身体観をテーマに、生成AIモデルやデジタルイメージを再構築し、絵画作品として描き上げた卒業制作《残像偶像no.3 [境界面上において変わりゆく自他について]》が高く評価され、本学買い上げとなりました。現在、本学修士課程在籍。

    その他の主な出品作品
    野平上《自画像》、十時恵《自画像》、椎葉聡子《自画像》、小田隆《自画像》、若松琉夏《自画像》、矢野央祐《自画像》


    2. 卒業・修了制作:学びの集大成


    当館では、優秀な成績をおさめた学生たちの卒業・修了制作を収集、保管しています。ここでは、日本画、油画、彫刻、工芸、デザイン、先端芸術表現、そしてGAPの各科卒・修了生から作品を選りすぐり、本学における多様な芸術表現の軌跡を辿ります。

    小谷野圭子《おいしい箱》平成10年(1998) 工芸科彫金専攻卒業


    メロンやスイカが持つ色や模様、かたちや味をイメージし、ひとつの《おいしい箱》として表現した作品。切嵌象嵌や透かし彫りといった緻密な伝統技法に取り組み、そのきめ細かな造形が教育資料として評価され、平成10年度に本学買い上げとなりました。

    片岡啓介《空想人工魚図鑑》平成10~11年(1998~1999) デザイン科卒業
    海の生き物のかたちをした潜水艦で旅する物語を、機智に富んだ発想と丹念な描写で表した一点。潜水艦のひとつひとつに細かな設定やストーリーがあり、そのユーモアあふれる世界観が高い評価を受け、平成10年度に本学買い上げとなりました。

    その他の主な出品作品
    千住博《回帰の街》、藤田謙《「始まり」と「終り」》、コルネホ・アルパレス・ホセ・セサル《ランゾン》、大久保亜夜子《奇的》、小瀬村真美《薇-sweet scent-》、木戸龍介《Inner Light- Thai Public Chairs-》、會見明也《残像偶像no.3 [境界面上において変わりゆく自他について]》


    3.過去に学ぶ:未来へ繋ぐ教育資料


    学生の教育に資するため、開学当初より連綿と収集されてきた豊かな芸術資料が、ここ、取手の地に保管されています。芸術を志す若者たちのために、先人たちが集め、守り伝えてきた貴重な資料をご紹介いたします。

    近代日本画の巨匠・前田青邨が愛した武人埴輪
    《埴輪 兜をかぶる男子頭部》古墳時代・6世紀

    その他の主な出品作品
    《輪花葡萄栗鼡螺鈿卓》、胡詩琳《東京藝術大学大学美術館所蔵「輪花葡萄栗鼡螺鈿卓」天板部分の復元模造》、《大理石彫刻磨順序手本》

    イベント詳細

    イベント名藝大取手コレクション展 2025___Geidai TORIDE Collection 2025: Welcome!
    日程 -
    開催場所東京藝術大学大学美術館
    住所
    302-0001 茨城県取手市小文間5000
    https://maps.app.goo.gl/yXExZDPKWFTLDnka8
    開園時間 10:00〜17:00(最終入館時間 16:30)
    休館日11月17日(月)、18日(火)、25日(火)
    入場料無料
    URL https://museum.geidai.ac.jp/